福祉車両というのは、車椅子などを収納できる設備がついた車で、見た目の判断としては「車椅子マーク」が付いて車です。
装備上の違いでいえば、車後部に車椅子スロープ車となっている車や、車側部に車椅子リフト車となっている車、または足の不自由な障害者が利用する回転昇降シート車のような機構の車もあります。
このように車椅子を格納する装備があることで、改造車となってしまうのではないかと思う方が多いようです。
また、改造車は車査定では不利であるという認識されている方がいらっしゃいますので、車を売ることができるかどうか気になる方が多いようです。
今回はこの福祉車両を売る場合について解説します。
福祉車両の下取りは安い?買取との違いとは
福祉車両の下取りに関する情報を紹介します。下取りのメリット・デメリットや、下取り価格と買取相場の比較を通じて、最適な売却方法を見つけられるようになります。
下取りのメリット・デメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
手続きの簡便さ | 同じディーラーで新車購入と下取りが一括で行えるため、手続きが簡単。 | 買取業者を利用する場合と比較して、複数の業者とやり取りする手間が省けない。 |
価格 | 新車購入と同時に下取り交渉ができるため、値引き額が大きくなる可能性がある。 | 買取業者と比較して下取り価格が低い場合がある。 |
査定の手間 | ディーラーが下取り査定を行うため、別途査定業者を利用する手間がない。 | 複数の買取業者から査定を受けて比較できないため、相場価格を把握しにくい。 |
下取りのメリットとデメリットを比較表にしました。
重要な点をまとめると、下取りは「車を購入するときと売却するときの手続きを全て任せられるので楽だが査定額は比較的低い」というところです。
主に下取りと買取を比較した場合に起こる要素が多いので、その点を考えると上の要素も理解しやすいと思います。
下取り価格と買取相場の比較
下取り価格と買取相場の比較については、おおむね買取相場のほうが良好になるケースが多いです。
ディーラーでの下取りは、車売買をメインの仕事にしていないので、競争される市場価格が反映されにくい状況があります。
もう少しかみ砕いていえば、下取りで車を仕入れて転売して利益を出すという点にそれほど興味がないために、車さえ買ってくれれば本質的にはOKなのがディーラーです。
そのため、買取相場のほうが競争相手が発生しやすいので市場価値を盛り込みやすく、結果として下取り相場よりも買取相場のほうが高くなる傾向があります。
福祉車両の売り方:買取価格・相場情報
まず福祉車両は通常の車買取と同じ手順で申し込んで大丈夫です。
確かに改造車として見られるものですので、普通に売ることが出来るのか疑問がありますが実際には需要も多いのです。
事実、世の中には福祉車両専用の業者もいるぐらいで高値で取引されている現状です。
この例では日産セレナの福祉車両が、走行距離7万キロを超えているにも関わらず、200万円近い金額で取引されていることが確認できます。
走行距離が8万キロ近くの車はさすがに走りすぎなわけですが福祉車両となれば話は別です。
走りすぎも何も現代の日本車はそれなりのメンテナンスをすれば10万キロ超を十分に走れる車がほとんどで、一般的な乗用車は古くなってみっともないから買い替えるのが10万キロ付近というケースがほとんどです。
当然ですが、車が良く故障するような場合を除けば、多少車が古くても問題なく福祉車両として使えるのに文句を言う人はいないでしょう。
このように一般の車よりも需要が高いのが福祉車両で、高齢者が増える日本において今後ますます需要が増えてくる車であると判断できます。
ですから、専門の業者に依頼しても良いですし、高く売りたいならば相見積もりを取ってからどこに売るかを決めるのが良いということになります。
なぜ福祉車両は高く売れるのか
福祉車両が高く売れる理由というのは、それだけ実用的な車だからと言えます。
多くの方は車を使うために買っているはずですが、少なからず所有欲を満たす理由であるとか、または自己顕示欲から車を選ぶことを否定できないでしょう。
しかし、これらの目的で福祉車両を買うという方はまずいないはずで、多くの場合は車を利用する目的で購入するため、福祉車両の価値はその実用性にあるということになります。
そのため、先ほど7万キロ超のセレナがありましたが、福祉車両でないグレードの同条件セレナでは、車両価格で比較すると60万円近くの差があることが分かります。
このように福祉車両はその利用価値を評価されるので、古くても使える車は高く取引されています。
福祉車両の相場差
先ほどは日産セレナで比較しましたが、これは販売時の価格ですので、実際に売るときにはもう少し相場差は縮まることが予想されます。
では、実際にどのぐらいの相場差となるのでしょうか?
福祉車両とそうでない車との査定額差を、車種別で見ていきます。
福祉車両とそれ以外の車では15万円前後の評価差
トヨタシエンタの福祉車両の例では、同様の車に比べて15万円から20万円近く相場が高い状況です。
またスズキワゴンRの場合にはグレードで福祉車両が設定されていて、10年以上前の車であっても30万円ほどで取引されていることが確認できました。
ここに利益を乗せて市場に出回ることを考えると、売却するときにも古い車であったとしても10万円から20万円は現実的なラインかもしれません。
もちろん、車と装備の状態にもよりますが福祉車両は利用価値の面でとても大きく評価されています。
キズが多くても機能重視な査定評価
福祉車両では内部の小キズのようなものは多いかもしれませんが、車の乗り方は派手に乗るということはありませんから状態がよく、評価が高くなっているという推定もありますね。
このことから福祉車両は通常よりも高く売れる可能性が高いといえます。
なお、途中で話に出したように福祉車両は、グレードで福祉車両が設定されている場合と改造による福祉車両化のものがありますので、次はその点をみていきます。
一般車を福祉用途で利用した場合
ここまでは福祉車両グレードの話でしたが、一般車を福祉車両として利用した場合の買取価格は安くなってしまうことが多いです。
その理由は、車椅子の出し入れで車に傷が付いてしまうといった利用時の車損耗が大きな理由です。
とはいえ、これは雑な車利用をしていて同様に傷が付いてしまうなどがあれば同じような扱いになりますので、状況的な結果ともいえるでしょう。
既存グレード福祉車両(ウェルキャブ)は査定が良い
福祉車両といえば介護などに便利な仕様に改造されたものと、もともとグレードで設定されている場合があります。
このような車をトヨタではウェルキャブといい、他メーカーでも改造なしで元からあるグレードは査定額が有利です。
トヨタシエンタとアクアについては、別段福祉車両のグレード設定はありませんので、福祉車両は適切な改造がされている車ということになります。
それに対してスズキワゴンRについては福祉車両のグレード設定がされていますので、このグレードの車を買えば福祉用途の装備がついた車となります。
つまり、改造して福祉車両になる車よりも、元々福祉車両として作られた車のほうが査定額は有利になるということを覚えておいてください。
福祉車両の装備により価格差がある
福祉車両の装備は様々で、その設備によっても評価される額が変わってきます。
最も利便性が高いのは、後部座席部分にスロープで車いすがそのまま乗れるタイプの車です。
当然、利便性が高いので車価値も高くなります。
反面、椅子だけが出てくるような車や、車いすだけ格納できるような車であれば、スロープタイプほどには高く評価されることはありません。
このように装備によっては、積極的に評価されるものと、それほど評価されるものとに分かれるので、福祉車両を売るときにはその観点でも見ていく必要がありますね。
福祉車両の買取・売却時に注意する点と査定額を上げる方法
福祉車両の買取・売却時に注意すべき点や、査定額を上げる方法を詳しく解説します。車両の状態を整えたり、複数の買取業者から査定を受ける方法などを紹介します。
福祉車両は普通の車と特殊な装備が付いている場合から、車椅子乗り入れ出来るために少し利便性があがっているものまでありますが、今後は需要が増していく車両です。
そのため、福祉車両を売る場合はうっかり相場より安い金額で売らないように気をつけたいところです。
車両の状態を整える
車を売るときに重要なのは、相手に指摘されやすいような箇所をおおむね整えておくことが重要です。
残念な事実ですが、車買取業者や下取りをするディーラーにとっては「仕入れ」になるので、出来る限り安く買って利益を多く取りたいのが本音です。
車内が汚れている場合などは、査定額減額の理由を作ってしまうために、出来る範囲で掃除などをしておくようにしましょう。
ただし、完璧にきれいにするなどは必要はなく、「査定前に洗車と掃除を軽くしておく」といった程度で大丈夫です。
複数の買取業者から査定を受ける
前段落で査定を付ける業者は出来るだけ安く買いたいのが本音と説明しましたが、これは競争相手が居ない場合です。
査定額を競争する相手が居る場合には、相手よりも高い査定額を付ける必要があります。
このことで、相見積もりをすることが車を高く売るコツです。
残念ながら1社に対して車を高く売るようにお願いしても、良心的な場合にはちょっと増額されるだけなので、車を高く売りたい場合には相見積もりは必ずするようにしてください。
高く売れる福祉車両:安売り注意!
ここまでみてきたように福祉車両は査定額がそれなりに期待できます。
車というのは実のところ、実用に対して価値が付かないことが多く、例えば新車を登録しただけで価値が2割も落ちるといったところです。
しかしながら、トラックなどの商用車と福祉車両などは使用することで価値がある車です。
トラックが安い金額で取引されていないように、福祉車両も利用部分の価値が高いので、0円だったり引き取り費用が掛かるようなケースは、相当珍しいケースと言えます。
もちろん、使い古した車にはそれなりの価値となりますが、それでも利用価値がある車ですから安売りをすることだけはしないように気を付けてください。
減免の適用は名義変更の融通が利く業者に依頼すること!
福祉車両を購入する場合には自動車税の減免の適用がありますが、複数台の登録は認められていません。
つまり、福祉車両の乗り換えを行う場合には名義変更を早急に行う必要があるということです。
そのため、減免の適用をするために名義変更を早くする必要があることを買取業者に告知してください。
なお、ほとんどの車買取業者はすぐに名義変更をしてくれると思いますが、大手車買取業者であれば確実です。
これは業務の流れの中に名義変更を行う行程が入っていることから、確実かつ迅速に行ってくれること、また人員もいることがその理由です。
福祉車両を高く売る:まとめ
現在は4人に1人は高齢者という状態になっていますし、今後はさらにこの流れが加速するでしょう。
このような状況ですから福祉車両が必要になる需要は増えることはあっても減ることはありません。
むしろ福祉車両が欲しいという需要が増えてくることを考えると、福祉車両の車体価格は通常のものよりも高くなる可能性がありますので、安易に安く売らないように気をつけてください。
せっかく高く売ることが出来る福祉車両を安く売っては損ですからね。
もしあなたが少しでも高く福祉車両を売りたいと考えるならば、インターネット査定を確認しておくことをオススメします。
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以上、お役立ていただけたら幸いです。